パニックトレインVer

ドラマ性も無いし、ライブドキュメンタリーでもない。
数年後も評価されていいPVだと思う。
カメラほぼ固定は前述の通常版とは同じだがこちらはカット数が明らかに少ない。
(小川のパートあたりで一回変わるだけ)
振り付けのミスや口の動きが明らかにずれたりすることから考えると

「一発取りでライブ同様の撮影だったのではなかったのだろうか」


ということ。おぼろげな知識だけどビートルズのアルバム「Please,please,me」はたしか一日で録音したものらしい。まあ、これにはライブの躍動感や一発の緊張感を狙ったもので、映画に関してだと更に分かり易く映画監督溝口健二の代名詞「長回し」ももともと役者にカメラを意識させず、自然に演技させる意図を含んでいる。ようするに「ライブ感」を狙っているわけだ。
ライブが売りのミュージシャンPVの基本として「カメラ固定」「少数カット」があるがそれをも飛び越した感がこのPVにはある。

まず対象をすべて追わない(もしくは、追えない)点。
カメラが固定され長回しで撮るとなると十四人もの対象を総て追う事は困難になる。
そのうえ都電の車内という縦に広がった「奥行きのみ」しか使えない環境。(フォローパン<対象を追いカメラを横に振る>できない)
この分の悪い状況がライブ感を作っている。
ライブなんていっても総て観ることはできないし、周りの客にも気を使わなくては行けない。
快適な物ではないからこそライブである。

次に「ライブなのにライブじゃない点」
ここまでライブ感が伝わる造りにも関わらず「都電」という空間でこのライブ感が広がるのが「裏切り」の魅力。
ウェルメイドなエンターテインメントとまだ見ぬエンターテインメントの両方を生み出すモーニング娘。にかかわるスタッフはまだいける。
あとはお上だけだよ。