メロンと酢豆腐

　方々の日記を中心としたテキストサイトを見ると、一人暮らしをしてる方で多いのが貧乏生活を面白可笑しく語った日記です。私は未だに親のすねを齧り続けている実家住まい大学生でして、食い物には困らないし、光熱費、電話代（というよりネット費用）などにも困らないからなかなかこの手の話は出来ない。むしろ逆にその優雅な生活をお話しします。
　みなさん「高価な果物」といえば何を思い浮かべますか、流石にこれだけではまだ分からないですよね、じゃあヒント。タモリが好きな果物といえば。ここまでくればもう分かりますよね。そう、メロン。メロンですよ。
　で、そのメロンなんですけど、２０日ばかり前に私の大学の先輩がまるまる一個くれまして。もちろん私にだけと言う訳ではなくて、私の所属する部の後輩みんなにって事だったと思います。でも、その場で食べようとしたものの、そのメロンを分ける為の切るものが無い。必死に探してのこぎりぐらいは見つかったものののこぎりじゃあ無理ってことで話し合いの結果私がそれを独占する権利を得たのです。確かに私は「スイカよりメロン派」だし「食い意地はりそうな体型」だしほかの人が譲歩したのでしょう。で帰宅するも、その日は結構遅くまでメロンぶら下げながら飲んでいたんで帰宅後すぐ寝てしまいました。もちろん冷蔵庫にメロンは入れてません。
　その後は忙しい日が続いたためすっかりメロンの事は忘れていました。で今日にいたる訳です。
　メロンまるまる一個ですよ。メロンまるまる一個腐らせてしまうなんて事ができるのはビルゲイツとか、ソニ―の社長とか、風呂上がりはバスローブ着てブランデー片手にシャム猫をあやしているような大社長クラスの人物でないと出来ない事ですよ。凄い贅沢。
　その、腐ったメロンをどうしようかずっと考えています。「酢豆腐」という落語があるんですが、あれです確か映画「GO」で窪塚が「豆腐の腐った奴」って言ってた奴です。腐った豆腐を通ぶったある大店の若旦那に食べさせるって噺。こういう例があるので「サワーメロン」とか言って誰かに食わせてみるか。でもいざやろうと思うとなかなか踏み切れない。「食わせた奴が入院でもしたらどうしようとか」「で訴えられたらどうしよう」とか考えてしまいます。こんな事を「マジにやろう」という精神が落語の中でも面白いところであって、醍醐味である。談志師匠の言う「江戸っ子の了見」ってやつでしょうかね。
　「香港だか台湾でSARSってえのがずいぶん流行ってるらしいぜ、ちょっくら冷やかして来るか」といった了見。またこういうことはマジやらないとつまらない。
　「マジに馬鹿をする」っていうのはやっぱりエンターテインメントの基本なんだなと、腐ったメロンと、古今亭志ん朝の「酢豆腐」を聞いて痛感した。